知 事 答 弁

 全国知事会が分裂する可能性があるかどうかということでありますが、可能性がないわけ
ではありませんけれども、そうならないようにしていかなければならないと思います。

 実は先ほどおっしゃいました義務教育費国庫負担金の取り扱いをめぐって知事会で意見
をまとめるときに、多少分裂の可能性をにおわされた方もおあられましたけれども、結局は
最後は多数決で決めまして、分裂をしないことになりました。大人の処理をこれからもしてい
かなければいけないと思っております。

 おっしゃったように、確かに知事会は47の知事が入っておりますけれども、利害や立場、
地域の置かれた事情というのは一様ではありません。地域は似たような事情であっても、
考え方が違うという人もやっぱりいるものですから、多種多様であります。そういう中で知事
会の合意を形成していくというのはなかなか大変なことなのでありますけれども、それもしか
し、今回の三位一体改革の補助金の廃止リストをつくる過程では、そういう困難を乗り越え
て、小異を捨てて大同につくというそういう一つのいい事例ができましたので、私は知事会
もこれから変わっていくのだろうと思っております。

 ただ、意思疎通はよく図らなければいけないと思います。といいますのは、東京都の事情
と鳥取県、島根県の事情は全然違うわけでありまして東京都は交付税は全く関心がないわ
けであります。関係がありませんので。ところが、我々はやはり交付税というのは大問題で
あります。そういう相互の違いをよく認識をして、相互理解を深めるということは必要だろう
と思っておりまして、私も最近では東京都知事と時々お会いをしまして、交付税問題とか国
と地方の財政関係なども意見交換をするということもやっております。

 先日も岩手県知事と一緒に都庁に伺いまして、東京地知事とお話をしばらくしましたけれ
ども、いろんな話をしましたけれども、特に三位一体改革をめぐって、大都市を抱える地域
とそうでない地域とは影響にどういう違いがあるかということ、交付税というのはどういう意
義を持っていて、現在交付税がどういう問題と悩みをかかえているか、その処方せんはど
うかというようなことも私も持論を申し上げましたけれども、大変よく理解してただいたような
気がしております。これからもぜひ、東京都だけではありませんけれども、いろんな地域、
事情が異なる地域の知事と意思疎通を図って相互理解を深めたいと思っております。

 義務教育費国庫負担金については、いろんな反対があるのに知事会はまとめたが、ずれ
ているのではないかと森元総理の話も引き合いに出されました。

 これは本当にご承知のとおり、知事会の中でもいろんな意見があったのです。異論反論
がありました。私は、最後の集約をするまで反対を唱えておりました。反対といいますのは、
廃止対象リストに入れることに反対、すなわち現在の義務教育費国庫負担金制度は、総額
裁量制に移行した現在の制度というのは、我々にとってさほど支障がない。小中学校の教
職員給与の半分を負担金という形で現ナマで毎年決済をしてくれるわけですから、今のよ
うに交付税が非常に窮地に陥っているときには、むしろ現ナマの方がいいでしょうということ
で反対をしたわけであります。しかし、最後は38対幾らだったでしょうか。この問題につい
ては多数決をやりましたけれども、私のほうが少数派でありまして、廃止対象リストには加
えるということになったのであります。

 ただ、そういう経緯でありますから、知事会の意思としては、義務教育費国庫負担金とい
うのは、数ある補助金、負担金の中で廃止対象にするというときには、ラストバッターですよ
という合意があったのであります。決してトップバッターでこれを押し出すのではなくて、政府
に裁量の残る、裁量の非常に大きい補助金から優先的に廃止をしていって、最後税源移譲
に達しないとき、例えば3兆円から3兆円の税源移譲の額に達しないときに、この補助金も
供出するというか、差し出すというそういう合意のもとにラストバッターとして出したわけです。
したがって、異例ではありますけれども、地方6団体が総理に提出する改革案の中には少
数意見もつけておりまして、私などの少数意見もついているのでありますけれども、そういう
ことであったのです。

 ところが、何かそれがちょっとそごが生じまして、今回の政府の最終的な案には一番バッ
ターか2番バッターになっているわけです。これが多分1番バッターということであれば、2番
バッターは国民健康保険に対する国庫支出金でありまして、これなどは全然リストに入れて
いなかったわけでありまして、ベンチにも入れていなかった。9番バッターではなくてベンチ
にも入れていなかった選手と9番バッターとが今回の政府の案のクリーンアップになってい
るわけでありまして、これは地方案を尊重するということと大分違うのではないかなという感
想を持っております。その辺が、義務教育費を廃止対象といいますか、削減対象にするの
が地方の意見を尊重したことになるのだという、最終的になにかそういう風潮が政府の方に
あったのは、かなりそごがったのではないか、誤解があったのではないかなという気がして
おります。

 森前総理のお話をされました。私も先般直接お会いしたときに、森前総理が私の顔を見
るなり、僕は反対だからねと言われて、しばらくたってから、あなたは反対したそうだからい
いのだけれどもと私も言われましたけれども、この問題については非常に異論反論がある
ということは我々は当然承知でありまして、その上で今回のような結論になった次第であり
ます。

 三位一体改革について、国自らの行財政改革もすべきで、それに対して知事会がどうい
う役割を果たせるかということであったと思いますが、今回の三位一体改革は、実は私など
の考え方によりますと、本当の意味の三位一体改革をやれば、結果として国も地方もスリ
ムになる、行政改革がなし得るという代物なのであります。今まで補助金であるがゆえに
生じていたむだ、もらえるからやるとか、基準に達するために大掛かりにするとか、修繕す
れば直るのに補助金をもらうために全部建てかえるとか、そういうむだがやっぱりあるので
す。そういうものを、補助金を削って一般財源化することによってそういうむだがなくなると
か、交付税改革では、先食いをやめるということで歳出の膨張を防げる、スリムになるとい
うことなのです。ですから、結果としてスリムになると思っているのですけれども、国の財政
当局は、そういうことではなくて、のっけから削ることが三位一体改革だと。構造的な改革を
しないて、結果の交付税額だけ削る事が三位一体改革だというようなそういうそごがあって、
それに私たちは非常に違和感を持っております。

 知事会としても、国が改めるべき点は国に対してちゃんと言っていこうというので、例えば
規制緩和委員会をつくったり、国に対して物を言うということをやっていまして、一部の委員
会、研究会は、長野県の田中康夫知事が座長になって、今一生懸命取り組んでくれており
ますけれども、そんなことを今やっているところであります。

 私もこの間、知事会のときに、谷垣財務大臣に対してお話を申し上げたのです。国の方は
というか、財務省のお役人の皆さんは、何か地方団体が交付税をむだ遣いをしているといっ
て、一人一人の国会議員に触れてまわっているようですけれども、よほど暇なのですね、余
剰人員を抱えているのですね、よくそんな暇がありますね、県職員はそんなことをやる余裕
はないですというお話をしたのです。そういうところを見ても、国にはやっぱり余剰人員が随
分いると私は思うのです。日がな一日、国会の議員会館を走り回っている職員がごまんと
いるわけです。そういう人を整理すれば、私は随分行政改革になるのだろうとおもうのです。
本当に暇だとおもうのです。夜遅くまでやっているとおもいますけれども、やっぱり暇な人を
相当抱えている。そういうところを我々もこれからちゃんと指摘をしていかなければいけない
だろうと思っております。




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